(最終更新:2020年5月25日)

前回、ネットで出回っているこのチラシがどうしようもないデタラメだということを紹介しました。今回はその続きです。

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2兆3000億円もの生活保護が韓国人に使われていると書かれていますが、平成23年の総務省統計局のデータ(これの15番)では在日韓国朝鮮人の生活保護受給世帯数は28,796世帯なので、合計2兆3000億円を受給するためには1世帯当たり年間8000万円ももらっていることになるという、あまりにありえない大嘘だということを紹介しました。


この2兆3000億というのは、恐らく無職46万人全員に500万円ずつ支給されていると勝手に妄想して出した数字なのでしょうが、そもそもこの在日韓国人64万人とか無職46万人とかの数字はどこから持ってきたのでしょうか?


実際は在日朝鮮人は64万人もいません。このチラシがいつつくられたのか解りませんが、2013年12月時点ですと、在日韓国朝鮮人は51万9737人(総務省統計局←これの1番参照)。64万もいたのは2000年まで遡ります。


なぜこんな古い数字が出ているのか。調べてみたら、民団のHPに1999年の就職状況の情報が載っていて、それを根拠にしていることがわかりました。

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たしかに無職462,611と書いてありますね。全体が636,548人なので、64万人中46万人が無職と言うのはここが元ネタだとわかります。無職率71%。本当に、在日コリアンは全然働いていない怠惰な人たちなのでしょうか?


しかし、よく見てみると、職業の内容に、「学生」とか「主婦」とか「パート・アルバイト」とかがいうものがないことが分かります。


つまり、この数字は、学生も、専業主婦も、パート・アルバイトも、さらには0歳児や100歳のお年寄りまで、就職していない人全てを「無職」に入れてしまっている数字なのです。


当然、このような数字の出し方であれば、無職率が一見異常な数字を表すのは当然です。例えば、サザエさんの家は7人家族ですが、働いているのは波平とマスオさんの2人だけです。7人中5人が無職であり、無職率71%です。在日コリアンの64万人中46万人無職という数字は、これと同じ方法で出した数字です。全然異常な数字ではないと言うことが分かります。

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これで「無職46万」の謎はわかりましたでは、本当の現在の状況を調べてみましょう。最新平成22年の国勢調査を見てみましょう。

最新国勢調査(これの41番参照)を見るとこうなっています。

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↑日本人
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↑韓国朝鮮人

国勢調査をもとに生産年齢人口(15~65歳)の就業率を出すと、以下のような数字になります。

国籍

生産年齢人口(a)

就業者(b)

生産年齢人口の
就業率(b/a)

日本人

79,726,293人

52,927,346人

66.4%

韓国朝鮮人

308,518人

174,245人

56.5%

その他の外国人

996,989人

557,717人

56.0%


日本人の就業率に比べると10ポイント落ちるものの、その他の外国人との差はないことが分かります。日本人よりも就業率が低い理由はこれだけではわかりませんが、外国人全体が日本人よりも低いことを考えると、怠惰が原因ではなく、就職に何らかの不利が生じている可能性が考えられます。



また、肝心な生活保護についてみてみましょう。国籍別統計がある中では最新の平成23年のデータを参照することにします。


平成23年の被保護世帯数は1,469,290世帯。そのうち外国人世帯が43,479世帯。在日韓国朝鮮人世帯が28796世帯です。(※あくまで世帯主の国籍です。日本人世帯に外国人がいる場合も、外国人世帯に日本人がいる場合もあります)


日本全体での被保護人員数は2,024,089人。外国人世帯の被保護人員数までは正確にわからないのですが、世帯人員毎の数字がが出ていますのでそれで計算しますと、外国人世帯の被保護人数は71,422人。そのうち韓国朝鮮人は38,046人でした。


(※「6人以上世帯」は6人として計算したので、実際の数字とは数人から数十人程度のずれがある可能性があります。
 また、世帯主が外国人の場合、その世帯構成員全員を外国人と仮定して計算しています。
 実際には外国人と日本人が同居している世帯が数多くあるため、多少のずれが生じます。あくまで参考地としてください)


これをグラフにするとこんな感じになります。
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外国人全体の被保護世帯が約3%、在日韓国朝鮮人が2%ほどと出ました。生活保護の全体の6、7割が外国人、特に在日韓国朝鮮人へ支給されているかのような言説は大嘘であることがわかります。


しばしば、外国人への生活保護費が財政圧迫の原因の一つであるかのように言われることがありますが、相当に誇張された言い方だと言わざるを得ないでしょう。打ち切っても3%しか減らりません。


人口割りで見ると、たしかに在日韓国朝鮮人の生活保護受給率は日本人の6倍近くになるんですが、ただし、これは国民年金に加入できなかった「無年金世代」が最大の原因だと言われています産経新聞参照)。(外国人が国民年金に加入できるようになったのは1982年から) 制度上年金に加入できずに現在生活保護に頼らざるを得ない状況になっているのが「特権」なんですか? 逆でしょ。

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(※世帯主の国籍と世帯構成員の国籍を同一のものと見なしているので、実際の数値とは誤差が生じています。あくまで参考地としてください)

第一、普通に考えれば生活保護受給率が6倍も高いというのは、生活困窮者が6倍も多いということです。実際先ほど見た通り、在日韓国朝鮮人の完全失業率は日本人よりも5%近く高いのです。これが特権なら、生活困窮者は特権階級ってことになりますね。結局生活保護をどうこねくり回したって、「在日特権」にはなりようがありません。見方を変えれば、こんな大嘘をつかないと「在日特権」なんてものの存在を主張できないと言えるかもしれませんね。



センター試験在日特権論にしろ、生活保護在日特権論にしろ、他の「あれが無料だ」「これが無料だ」というものにしろ、「在日特権」と呼ばれるもののほとんどが、恣意的な解釈や、ゆがんだデータの見方に支えられています。


ネットの根拠のない在日特権認定を信じてはいけません。そのほとんどはただの「2ちゃんねるに書かれていた噂」にすぎず、ちゃんと数字を見てみれば、彼らが主張する「日本人差別」など、デマをもとにした被害妄想以外の何物でもないことがわかります。


==愛国カルトに騙されないための心得==

・できる限り新しい統計を確認しよう。
 (今頃「在日朝鮮人64万人」なんて言ってるのはアホだけだ!)

・外国人を日本人と区別していないことを
 「日本人差別」と言い換える人に注意しよう。
 (生活保護もセンター試験も司法試験も外国人を区別してないだけ。優遇はしてない)

・自分で調べずにネットのコピペで
 記事やチラシを作って拡散するような人を信じてはいけない
 (こいつらのことね)

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