愛国カルトから愛される田母神俊雄氏。彼がどれだけおかしな人間であるかはこれまでにも何度か取り上げてきました。彼は被災者も女性も拉致被害者も蔑視したり、福島周辺の20キロ圏内は安全だと言ったり、とにかくデタラメなのですが、今回もデタラメなデマに騙され、沖縄の翁長知事についてとんでもないツイートをしました。

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(参照
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田母神氏は元海上自衛官惠隆之介氏の動画「沖縄を中国に渡すな!」というものを見て、それを鵜呑みにしてツイートしたようです。この動画で、惠氏は翁長知事を「反米・反日・親中」だとレッテルを貼り、「沖縄の中国化を進めている」と批判しています。その根拠として翁長知事の娘が北京大学に留学して共産党幹部の息子と結婚したということを上げているのですが、それがデマであることは既に『週刊ポスト』などで指摘済みです(参照)。酷いものですね。よくもまあそんなデマを平気で流せるものです。翁長知事はこの惠氏に対して名誉棄損で訴えてもいいと思います。

既にデマが指摘されている内容について、何の裏も取らずにツイートするあたりが流石田母神氏です。しかも6日たった今でも削除も訂正もしていません。恥というものを知らないのでしょうか? こんなに簡単にデマに騙されるようでは絶対政治家には向かないということがわかりますが、それ以上に私が問題に思ったのは田母神氏の最後の一言。「翁長氏の普天間基地の辺野古移転反対も、これだと理解できますね」という箇所です。

仮に本当に翁長氏の娘さんが北京に留学してエリート共産党員と結婚しているとしましょう。それが何だというのでしょうか? 北京に留学して共産党員と結婚した娘さんがいたとしても、それで親が「反米・反日・親中」になるというレッテル貼りがおかしいです。中国に留学した人や中国人と結婚した日本人くらい大勢いるでしょうが、それで反日・反米になるでしょうか? 日本に留学して日本人と結婚した中国人も大勢いますが、その人たちは反中になるでしょうか? 惠氏や田母神氏の発言は、中国に留学したり、中国人と結婚した人全体に対する侮辱であり、「中国と仲良くすれば反日である」という決めつけはただの偏見に基づいたレッテル貼りにすぎません。独善的で歪んだ愛国心が生んだ攘夷思想と言っても良いでしょう。

そして、田母神氏は「普天間基地の辺野古移転反対もこれだと理解できます」と言っています。つまり、田母神氏は辺野古移転反対は「反米・反日・親中」行為だと言っているわけです。

しかし実際には、翁長氏は辺野古移転反対を公約に掲げ、5割を超える得票率で知事に当選しました。
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↑2014年沖縄知事選結果(参照

これは、辺野古移転反対は決して翁長氏の独断ではなく、県民の少なからぬ支持があることを意味します。

そもそも、沖縄は日本の面積の1割以下しかないにもかかわらず、在日米軍基地面積の74%が集中しています。(※米軍専用の基地面積。自衛隊との共有の面積も含めると23%。それでも沖縄に圧倒的に集中していることがわかります)

普天間のような問題があり、基地移転を求め続け、決まった場所が辺野古です。沖縄県民からしたら、部屋の中心に荷物を置かれ続け、ようやく荷物をどけてくれるかと思ったら、部屋の別の場所に移動されただけという感覚なのではないでしょうか。沖縄県民が県外移設を求め、辺野古移転に反対するのはごく自然な反応だと私は思います。

では、なぜ惠氏や田母神氏、その他ネット上の一部の自称愛国者たちは、辺野古移転反対を「反日・反米・親中」かのように言うのでしょう。

はっきり言いましょう。彼らは沖縄を植民地程度にしか思っていないのです

「沖縄の米軍がいなくなったら日本を守れない」
「だから沖縄に米軍基地を置くことに反対する奴は反日・反米・親中」
「だから沖縄は日本を守るために本土の決定に黙って従え」

こういう理論です。

田母神氏らは、自分たちが「日本」であり、沖縄を「日本」を守る防波堤程度にしか思っていないのです。アジア太平洋戦争時にも日本政府は沖縄を本土決戦までの防波堤のような扱いをしましたが、未だにそのような意識が抜けていないのです。だから沖縄を「反日」なんて言えるのです。彼らは沖縄を日本扱いしていないのです。

沖縄県民が基地負担軽減を求めることを「反日」としか見なせない人たちは、結局「日本」のことを考えているふりをして、沖縄の人たちを見下して防波堤扱いし、「日本を守るためなんだからお前たちは我慢しろ」と痛みを押し付けているのです。彼らが考える「日本」とは自分たちのことであり、沖縄まで含めた本当の意味の「日本」ではないのです。

惠氏が「沖縄を中国に渡すな」なんて言うのも、彼が沖縄を本土と対等な日本の一部ではなく、本土の付属品程度にしか思っていないからこその発言でしょう(※そもそも「本土」という呼び方自体、不遜で嫌いなのですが、他に適当な呼び方が思いつかないので一応「本土」と呼んでおきます)。

沖縄を渡したり渡されたりできるような付属品扱いしているのです。そして、翁長知事や沖縄県民が日本を出て中国に編入されたがっているかのようなとんでもない偏見のレッテル張り。彼らは沖縄県民の気持ちなどかけらほども考えていないのです。「日本の付属の土地に住んでいるくせして、日本の言うことを聞かない勝手な奴ら」ぐらいにしか思っているのです。

沖縄の人たちは、自分たちの生活や自分たちの郷土を良くしたいからこそ、辺野古基地移転に反対しているのであり、それを「反日」などと呼ぶのは、自分たちだけを「日本」だと考えている本土の人間の傲慢でしかありません。沖縄県民には自分たちの生活の安定や郷土の自然を守ることを主張する権利があります。本土の人間は、沖縄に対して惠氏や田母神氏のように「左翼」だの「反日・反米・親中」だののレッテルを張るのではなく、沖縄が納得できるような解決策を提示する義務があると私は思います。

簡単に解決できる問題ではありませんが、日本の一部である沖縄を「反日」扱いするような傲慢な人間が政治家になるべきではありません。

私は強く言いたい。

沖縄は本土の付属品ではない!

そんなこともわからず、負担を沖縄に押し付けて、拒否されれば沖縄を「反日」扱いするような人たちに、日本の将来を語る資格など全くないと私は思います。

====愛国カルトに騙されないために==== 
・裏も取らずデマを垂れ流す田母神氏を信じてはいけない。

・沖縄を「反日」と呼ぶような傲慢な人間を信じてはいけない。
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