前回も紹介した元自民党衆議院議員渡部篤氏がまたすごいことを言っています。

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なんと彼によると、9条護憲論者は中国共産党に日本を占領してもらいたがっているらしいです。どこをどうやればそんな発想が生まれるのでしょう? あれが自民党が言う通り「押し付け憲法」であるなら、アメリカが日本を中国に占領してもらいたがっていたことになりますね。

今年4月の世論調査では、なんと産経新聞でも憲法改正賛成が40.8%、反対が47.8%で、反対が賛成を上回りました。賛成者のうち9条の改正に賛成しているのは60.3%なので、9条改正賛成は全体の25%ほどと言うことになります(産経新聞参照)。朝日新聞の世論調査では9条を「変えない方がよい」が63%です(朝日新聞参照)。NHKの世論調査では9条改正の「必要はない」が38%、「必要がある」が22%でした(NHK参照
  
どの世論調査でも9条については改正賛成は3割なく、改正反対が上回っています。渡部氏の説では、日本では3割~6割の人間が中国共産党に侵略されたがっていることになりますね

そして、彼らはソ連や中国共産党を「祖国」と思っていたらしいです。それって護憲論者じゃなくて革マル派みたいな極左と呼ばれる連中だと思うのですが、渡部氏の脳内では「護憲論者」=「極左」みたいです。自民党内にも護憲論者が少なからずいたことを渡部氏は元自民党員でありながらご存じないらしい。せめて自分が所属していた党の歴史ぐらい学んでほしいものです。

彼が9条改正を訴えるのは言論の自由ですが、「護憲論者」=「中国やソ連を祖国と思っていた極左」のような認識を持っているような人物が、かつて衆議院議員をやっていたというのは驚くべきことだと思います。

以前「ネトウヨの考える左翼はフィクションです」という記事でも書きましたが、この手の人間、すなわちこのブログでずっと紹介したきた愛国カルトたちに共通している特徴が、「自分」か「敵」かという二元化です

自分が「護憲論に反対」で「共産主義に反対」でどっちも自分の「敵」と見なすと、自分の敵である護憲論者と共産主義者が同じ人物であると思い込むのです。

こういうのを最近は「思考が1ビット」とか「1ビット思考」「1ビット脳」とか呼ぶそうです。0か1か、味方か敵かしかない。本当は護憲論者の中にも、自衛隊の存在自体を違憲だと思う人もいれば、自衛隊の存在は合憲と思う人もいます。さらに自衛隊の存在は合憲と思う人の中でも、自衛隊の活動の仕方については意見がさまざまあるわけです。もちろん改憲論者の中にも集団的自衛権に賛成の人も反対の人もいるわけですね。

ところが、この渡部氏のように1ビット脳の人間は、自分か敵かしかありません。自分が「安保法案賛成」「9条改正賛成」「中国共産党嫌い」だと、「安保法案反対」の人は全員「9条改正反対」で「中国共産党が好き」だと考えるのです。

このブログで紹介してきた愛国カルトの人たちは、自分の意見と違う人を直ぐに「反日」と呼ぶ人が多かったですが、それは彼らが自分たちの「愛国」が絶対的唯一の愛国の作法であり、それ以外は「反日」という、1ビット脳しか持ち合わせていないからです。

現実の世の中はこれよりはるかに複雑で、愛国の作法なんていくらでもあります。例えば隣国に対抗するのが愛国だと思っている人もいますが、その逆に隣国と妥協してでも友好関係を築くことこそ愛国と考える真逆の人もいます。

安保や9条にしたって、先日の憲法審査会に呼ばれた小林節氏のように、安保法案反対だけど9条改正には賛成の人もいますし、9条改正反対だけど共産党大嫌いなんて人だっていくらでもいます(というか中国共産党が好きな日本人なんて私は一人も知らないぞ)。さらに、デヴィ夫人のように、安倍政権支持、田母神氏支持でも北朝鮮大好きなんて変わった人までいます。安保法案だって、「戦争法案だから反対」という意見の人もいれば、「集団的自衛権には賛成だけど現行の憲法には違反するから先に憲法改正をするべき」という意見で解釈改憲には反対している人だっているわけです。

世の中はかように複雑なのですが、1ビット思考の人にはこれが理解できません。逆に言えば、1ビット思考の人が愛国カルトになるのですい。このような典型的1ビット思考の愛国カルトが自民党の衆議院議員を務めていたと言うのは驚くべきことだと思います。

私たちは、世の中には自分一人では理解しきれないほど多様な意見が溢れているということを認識し、「敵か味方か」という1ビット脳を持たないようにすることが、愛国カルト化せず、愛国カルトに騙されもしないためにとても大切なことです。「愛国者である自分に反対する奴は反日だ。反日ということは反日の中国共産党の手先だ」みたいな短絡的で1ビット思考の人を信頼してはいけません。

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